IP電話とは?種類や仕組み、メリットなど詳しく解説

IP電話とは、インターネットプロトコル(IP)を活用して音声や映像などのデータ通信を行う先進的な電話サービスです。従来のアナログ電話(固定電話)に比べて、通信コストの削減や柔軟な機能性、さらに効率的な運用が可能になる点で注目されています。ただし、IP電話にはその仕組みや種類ごとに異なる特徴があり、導入時にはメリット・デメリットを理解することが重要です。本記事では、IP電話の基本から種類、仕組み、導入の際に押さえるべきポイントまで詳しく解説します。

IP電話の種類

IP電話には複数の種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。ここでは、代表的な3つの種類を詳しく解説し、仕組みについても分かりやすく説明します。

1. VoIP(Voice over Internet Protocol)

VoIPは、インターネット回線を利用して音声通話を行う技術です。パソコンやスマートフォンに専用のアプリをインストールすることで、電話回線を使わずに音声通話が可能になります。

特徴と仕組み

VoIPでは、音声データをデジタル信号に変換し、インターネットを通じて送受信します。Wi-Fiやモバイルデータ通信を利用するため、固定電話に比べて通信コストを大幅に抑えることができます。

代表的なサービス

  • Skype
  • LINE通話
  • Zoomの音声機能

メリット

  • インターネット環境があればどこでも利用可能
  • 通話料金が安く、特に国際通話のコスト削減に効果的
  • スマートフォンやパソコンを使って手軽に通話できる

デメリット

  • インターネット環境が悪いと音声が途切れることがある
  • 通常の電話番号を持たないため、固定電話との併用が必要な場合もある

2. IPセントレックス

IPセントレックスは、企業向けのIP電話システムで、社内電話網をインターネット回線で構築する方式です。従来のPBX(構内交換機)の代わりに、クラウド上のシステムを利用することで、拠点間の通話を効率化できます。

特徴と仕組み

社内の電話機をインターネット経由で接続し、外線・内線の管理を一元化できます。物理的な交換機を設置する必要がなく、テレワークや複数拠点の連携にも適しています。

利用方法

  • 企業のオフィス電話として利用
  • テレワーク環境での通話管理
  • 拠点間の内線通話を無料化

メリット

  • 社内電話を一元管理できるため、運用コストを削減できる
  • テレワークや複数拠点の電話環境に対応しやすい
  • 専用の電話機やアダプターを使用することで、高品質な通話が可能

デメリット

  • 導入には初期コストや設定が必要
  • インターネット回線の影響を受けるため、通信環境が悪いと品質が低下する

3. ナンバーディスプレイ付きIP電話

ナンバーディスプレイ付きIP電話は、固定電話番号を利用しながら、インターネット回線を使って通話できるIP電話サービスです。NTT東日本・西日本が提供する「フレッツ光電話」などが代表例です。

特徴と仕組み

固定電話回線とインターネット回線を併用し、一般的な電話番号(03や06など)を使って通話できます。専用のルーターを利用することで、インターネット経由の通話が可能になります。

代表的なサービス

  • フレッツ光電話(NTT東日本・西日本)
  • ケーブルテレビ会社が提供するIP電話サービス

メリット

  • 固定電話と同じ番号を使用できるため、ビジネス利用に適している
  • 一般的な固定電話よりも通話料金が安い
  • 緊急通報(110番、119番)にも対応

デメリット

  • インターネット回線がないと使用できない
  • 停電時には利用できなくなる可能性がある

IP電話の仕組み

インターネットを利用した音声データの送受信

IP電話は、インターネットを利用して音声や映像のデータを送受信します。その際、音声データは「パケット」と呼ばれる小さなデータ単位に分割され、ネットワーク上を転送されます。

データ転送の流れ

  1. 音声をデジタル化
    • 通話の音声はデジタル信号に変換され、小さなパケットに分割されます。
  2. インターネット経由で送信
    • パケットには、送信元や送信先の情報が付加され、インターネット上のルーターが最適な経路を選んで転送します。
  3. 受信側でパケットを再構成
    • 送信先の端末では、受信したパケットを元の音声データに復元し、通話が成立します。

IP電話の利点

  • コスト削減:通話料金が大幅に抑えられる
  • 柔軟な利用環境:インターネット接続があれば、どこからでも通話可能
  • 拡張性が高い:企業での導入時に、内線や外線の管理がしやすい

注意点

セキュリティ対策が必要:ハッキングや不正アクセスを防ぐため、適切なセキュリティ対策が求められる

通信品質の影響:インターネットの状況によっては遅延や途切れが発生することがある

停電時のリスク:IP電話はインターネット回線が必要なため、停電時には使用できなくなる可能性がある

IP電話と固定電話(アナログ電話)との違いを比較

IP電話と固定電話(アナログ電話)との違いを以下の表で比較します。

項目IP電話固定電話(アナログ電話)
通信品質ノイズやエコーなどが発生しやすい高品質でクリアな通話が可能
通信料金国内外問わず安価で一定国内外や時間帯によって変動
通信機能複数人での会議やビデオチャットなど多彩基本的に音声通話のみ
通信回線インターネット回線専用回線
停電時の対応バッテリーなどのバックアップが必要通話可能

IP電話の導入メリット

IP電話を導入することで、従来の固定電話にはないさまざまな利点を享受できます。以下に、主なメリットを詳しく説明します。

1. 高品質な通信が可能

IP電話は、最新の通信技術を活用しており、音声のクリアさや安定性に優れています。特に、高速なインターネット回線を利用すれば、通話中の遅延や音切れがほとんどなく、快適なコミュニケーションが可能になります。また、映像通話にも対応しているサービスが多く、ビデオ会議やオンラインミーティングにも活用できます。

2. 通信コストを大幅に削減

IP電話は、従来の電話回線を使用しないため、通話料金を大幅に抑えることができます。特に、国際電話や長時間の通話では、従来の固定電話に比べてコストを大幅に削減できるのが大きなメリットです。VoIPサービスを利用すれば、国内外を問わず無料で通話できる場合もあります。

3. 充実した通信機能を活用できる

IP電話には、従来の電話にはない多彩な機能が備わっています。例えば、以下のような機能を利用することで、ビジネスやプライベートでのコミュニケーションがより円滑になります。

  • ビデオ通話:音声だけでなく映像を交えたコミュニケーションが可能
  • ボイスメール:留守番電話機能をクラウド上で管理
  • カンファレンス通話:複数人で同時に通話できる
  • 通話録音:通話内容を記録し、後から確認できる

4. 通信回線の統合による運用の効率化

IP電話を導入することで、インターネット回線と電話回線を一本化できるため、管理や運用が容易になります。特に、企業にとっては電話設備の維持費が削減でき、オフィスの通信インフラを効率的に整備できるというメリットがあります。

IP電話の導入デメリット

便利なIP電話ですが、いくつかの課題も存在します。導入前に、以下のデメリットを理解しておくことが重要です。

1. 停電時に利用できない可能性がある

IP電話はインターネット回線を利用するため、停電が発生すると通話ができなくなることがあります。従来の固定電話は停電時でも利用できる場合がありますが、IP電話は電力供給が途絶えると機能しなくなるため、非常時の対策を考慮する必要があります。

2. インターネット回線の影響を受ける

IP電話の通信品質は、インターネット回線の速度や安定性に依存します。回線が混雑していたり、通信速度が遅かったりすると、音声の遅延やノイズ、通話の途切れが発生することがあります。そのため、安定したインターネット環境の確保が不可欠です。

3. セキュリティ対策が必要

IP電話はインターネットを介してデータを送受信するため、サイバー攻撃のリスクがあります。ハッキングや盗聴のリスクを防ぐためには、適切なセキュリティ対策が求められます。特に、ビジネス用途で利用する場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)の導入や、暗号化技術を活用した安全な通信環境の構築が推奨されます。

IP電話の利用時の注意点

IP電話を導入・利用する際には、以下のポイントに注意することで、トラブルを防ぎ、快適な通話環境を維持できます。

1. インターネット回線の契約・設定を確認する

IP電話の通信品質は、使用するインターネット回線の性能に大きく左右されます。回線速度が遅かったり、不安定だったりすると、通話品質が低下するため、光回線などの高速・安定した回線を選択することが推奨されます。また、ルーターの設定やネットワーク環境を最適化することで、音声の遅延や切断を防ぐことができます。

2. 対応端末や機器を準備する

IP電話を利用するには、対応したデバイスや専用の機器が必要です。スマートフォンやパソコンで利用する場合は、VoIPアプリをインストールする必要があります。一方、企業で導入する場合は、専用のIP電話機やVoIPアダプターを用意することで、より安定した通話環境を構築できます。

3. 停電時の対策を講じる

IP電話は電力が供給されていないと利用できません。停電時に備えて、無停電電源装置(UPS)を導入したり、代替手段として携帯電話を併用するなどの対策を検討すると安心です。

4. セキュリティ対策を強化する

インターネット経由での通話にはセキュリティリスクが伴うため、不正アクセスや盗聴を防ぐための対策が必要です。具体的には、以下のような対策を講じることが推奨されます。

  • 強固なパスワードを設定し、不正ログインを防ぐ
  • 最新のセキュリティアップデートを適用する
  • VPNを利用して安全な通信を確保する

5. 緊急通報の対応状況を確認する

IP電話では、110番(警察)や119番(消防・救急)への緊急通報が制限される場合があります。特に、IP電話の種類やサービス提供者によっては、位置情報が正確に伝わらない場合があるため、緊急時の代替手段(携帯電話など)を用意しておくことが重要です。

まとめ

IP電話とは、インターネットプロトコル(IP)を使って音声や映像などの通信を行う電話サービスのことです。IP電話は、従来の固定電話(アナログ電話)と比べて、通信品質や機能性、コストなどに優れた特徴があります。しかし、IP電話には種類や仕組み、メリットやデメリット、注意点などもあります。自分のニーズに合ったIP電話を選ぶためには、これらの点を理解しておくことが重要です。

スータブル・ソリューションズでもIP電話のお取り扱いをしております。IP電話は前述の通りインターネット回線を利用して電話を行う仕組みとなります。スマホを内線化できるといったメリットがある半面、例えば1本の回線でインターネットと電話を相乗せした場合に、インターネット側の負荷が高まり、電話も聞き取りづらくなるといったリスクがございます。しかしIP電話をご利用中の多くのお客様は上記で記載したような1本の回線でインターネットも電話も利用する方法を取られています。弊社の場合、IP電話のご提案はもちろん、入替と同時に新たなIP電話用回線のご提案、現回線や電話サービスプランの見直しもご提案の中でご一緒に実施をさせて頂きます。基本的にIP電話は月額の利用料金が発生してきますので、プランの見直しを行う事で、会社にとって不要なコストを必要な仕組みに当て込むことが可能な場合もございます。

更に詳しく知りたい方は以下のページもご覧下さい。

投稿者プロフィール

スータブル・ソリューションズサービス担当者
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【有資格】
■事業免許
総務省 届出電気通信事業者 A-10-3067号
東京都公安委員会 事務機器商営業許可 第306660205689号
東京都 産業廃棄物収集運搬許可 第13-00-119879号
神奈川県 許可番号 01400119879号

■取得認証
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