ITアウトソーシングとは?委託できる業務内容や基礎知識

ITアウトソーシングとは、企業が自社のIT関連の業務を外部の専門業者に委託することです。
ITアウトソーシングには様々なメリットがあります。例えば、コスト削減、品質向上、スピードアップ、人材不足の解消、最新技術の導入などです。
しかし、ITアウトソーシングにはデメリットもあります。例えば、情報漏洩のリスク、スキルやノウハウの社内蓄積、コミュニケーションの課題、契約や管理の手間などです。
ITアウトソーシングを成功させるには、自社のニーズや目的に合った信頼できるパートナー業者を選び、適切な契約や管理を行うことはもとより、定期的なミーティングなどを通じてお互いの意思疎通を図ることが重要です

ITアウトソーシングとは

ITアウトソーシングとは、企業がIT分野にかかわる社内業務を外部業者に委託することを指します。ITアウトソーシングは、システムの開発・設計やサーバーの保守管理、社内ネットワークの構築や運用保守、トラブル対応などの運用管理業務など、委託できる業務は多岐に渡ります

ITアウトソーシングの主な形態

ITアウトソーシングには主に以下の3つの形態があります。

スタッフオーグメンテーション

自社のIT部門に外部の人材を一時的に追加することです。自社がプロジェクトの管理や方針を決め、外部の人材がその指示に従って作業します。スタッフオーグメンテーションは、短期的な人材不足やスキル不足を補う場合に有効です。

プロジェクトベース

自社が必要とするIT関連のプロジェクトを外部の業者に丸ごと委託することです。外部の業者がプロジェクトの管理や方針を決め、自社はその成果物を受け取ります。プロジェクトベースは、特定の目的や期限がある場合や、自社に専門知識や経験がない場合に有効です。

マネージドサービス

自社が必要とするIT関連の業務を外部の業者に継続的に委託することです。外部の業者が業務の管理や方針を決め、自社はそのサービスレベルを評価します。マネージドサービスは、長期的なパートナーシップを築きたい場合や、自社にIT部門がない場合に有効です。

ITアウトソーシングで委託できる業務内容

ITアウトソーシングで委託できる業務内容は多岐にわたります。代表的なものを以下に紹介します。

テクニカルサポート

テクニカルサポートとは、自社の従業員や顧客が使用するIT機器やシステムに関する問い合わせやトラブルシューティングを行うことです。テクニカルサポートは、電話やメール、チャットなどで対応するリモートサポートと、現地で対応するオンサイトサポートに分けられます。

テクニカルサポートをアウトソーシングするメリットは、以下のとおりです。

  • サポートの品質や効率を向上させることができます。外部の業者は、テクニカルサポートに特化した人材やツールを持っているため、的確に原因を解明し、迅速かつ正確に対応できます。
  • サポートのコストを削減することができます。外部の業者は、サポートの規模や需要に応じて柔軟に人員やリソースを調整できるため、必要に応じてオーダーが可能となり、採用などの間接経費、組織の維持に必要な費用などの無駄なコストを抑えられます。
  • サポートの範囲や時間を拡大することができます。外部の業者は、自社では対応できない言語や地域、時間帯にも対応できるため、より多くの従業員や顧客にサービスを提供できます。

システムマネジメント

システムマネジメントとは、自社が使用するITシステムの運用や保守を行うことです。システムマネジメントには、サーバーやネットワーク、データベースなどのインフラストラクチャの管理や監視、セキュリティ対策やバックアップなどのリスク管理、パフォーマンスや利用状況などの分析やレポーティングなどが含まれます。

システムマネジメントをアウトソーシングするメリットは、以下のとおりです。

  • システムの安定性や信頼性を向上させることができます。外部の業者は、システムマネジメントに必要な経験や様々な業種の事例などを持っているため、障害や問題を早期に発見し、迅速かつ適切に対処できます。
  • システムのコストを削減することができます。外部の業者は、システムマネジメントに必要なインフラストラクチャやソフトウェアを共有したり、最適化したりすることで、コストを抑えられます。
  • システムの最新化や拡張性を確保することができます。外部の業者は、最新の技術やトレンドに常にアップデートし、自社のニーズや環境に合わせてシステムをカスタマイズしたり、拡張したりできます。

システムデリバリー

システムデリバリーとは、自社が必要とするITシステムの開発や導入を行うことです。システムデリバリーには、要件定義や設計、開発やテスト、導入や顧客データや商品マスタの移行などのプロセスが含まれます。

システムデリバリーをアウトソーシングするメリットは、以下のとおりです。

  • システムの品質や効果を向上させることができます。外部の業者は、システムデリバリーの経験が豊富な人材やソフトウェア開発会社やベンダーなどへの伝手を持っているため、高品質かつ効率的なシステムを開発し、自社のビジネスに貢献できます。
  • システムのリスクを低減することができます。外部の業者は、システムデリバリーにおける最新の技術やセキュリティ対策を把握しているため、システムの障害や不正アクセスなどのリスクを最小限に抑えることができます。
  • システムの柔軟性や拡張性を高めることができます。外部の業者は、システムデリバリーにおける様々なニーズや変化に対応できるように、システムのカスタマイズや追加機能の提供などの相談、助言を受けることができます。

ツール保守

ツール保守とは、企業が既に導入しているシステムやツールの保守や改修を外部の業者に依頼することです。ツール保守には、障害対応、バグ修正、機能追加、パフォーマンス改善などが含まれます。

ツール保守をアウトソーシングするメリットは、以下の通りです。

  • 常に最新の状態に保つことができることや、自社の人員や時間を他の業務に割くことができることです。しかし、ツール保守をアウトソーシングする際には、保守レベルやサービス品質を契約で明確にすることや、定期的にレビューすることが必要です。

コンサルティング

コンサルティングとは、企業がIT関連の課題や戦略を外部の専門家に相談することです。コンサルティングには、現状分析、課題解決策の提案、戦略立案などが含まれます。

コンサルティングをアウトソーシングするメリットは、以下の通りです。

  • 第三者的な視点や豊富な知識や経験を得ることができることや、自社の強みや弱みを客観的に把握できることです。しかし、コンサルをアウトソーシングする際には、自社の目的や期待値を明確にすることや、提案内容を実行できるかどうかを検討することが必要です。

ITアウトソーシングの3つのメリット

1. IT部門のコスト削減

ITアウトソーシングはコスト削減に直結します。社内でIT部門を維持するためには、適切な人員確保、給与や人事評価、トレーニング費用、設備費用など多額の経費がかかります。アウトソーシングを活用することで、これらのコストを大幅に削減することが可能です。特に中小企業にとって、予算内で高度なITサービスを受けられる点は大きな魅力です。

2. 専門性の高いプロ人材に任せられる

ITアウトソーシングを活用することで、企業は自社で雇用しにくい高度な専門性を持つプロフェッショナルに業務を任せることができます。これにより、プロジェクトの成功率が高まり、企業の信頼性と競争力が向上します。特に高度な技術や専門的な知識が求められるタスクにおいては、専門性の高い人材の存在が大きな強みとなります。
ITアウトソーシングパートナーは多様な業界での経験と最新トレンドに精通しており、企業が自社内で得ることが難しい高品質なサービスを提供してくれます。

3. コアビジネスへの集中

ITアウトソーシングを導入することで、企業はIT業務から解放され、コアビジネスに集中できるようになります。また、IT業務を外部に任せることで、社内リソースを戦略的な業務や市場拡大に振り向けることが可能になります。その結果、業務全体の効率が向上し、企業の競争力が強化されます。

4.社内ITの見える化を図る

もし社内に1人のITシステム担当者しかいなかったとします。業務中に社内からのQ&A対応、ネットワークやルーターの設定情報や配線などの管理、メーカーやベンダー・通信会社への問い合わせ業務、いつ発生するか分からない外部からの不正アクセスなど脅威への対策、Microsoft365、ウィルスソフトやクラウドサービスなどのライセンス管理、入社退職に伴うサーバーの権限付与など多種多様な業務が発生します。1人しかいないITシステム担当を企業経営者が適切に評価することは難しいのが現状です。何も不具合が無いのが当たり前になり、地道な仕事が評価されない事に失望し、IT担当者が急に退職してしまうケースなどもあります。
通常時から、欠員などにより生じるリスクを防ぎ、上手にITアウトソーシング企業と業務を分担・連携して円滑なIT業務を推進させることが肝要です。

ITアウトソーシングの5つの活用プロセス

1. 自社のITニーズを明確化

最初のステップは、自社のITニーズを明確にすることです。どの業務をアウトソーシングしたいのか、具体的な目標と期待する成果を定義します。これにより、適切なアウトソーシングパートナーを選定するための基準が明確になります。

2. 適切なパートナーのリサーチ

次に、潜在的なアウトソーシングパートナーをリサーチします。企業のニーズに合ったプロバイダーを見つけるために、業界の評判、専門知識、過去の実績、クライアントのレビューなどを調査します。この段階で、複数の候補をリストアップすることが重要です。

3. パートナーとの面談と評価

リサーチで得た情報を基に、複数のアウトソーシングパートナーと面談を行います。面談では、具体的なサービス内容、提供能力、対応力などを詳細に確認します。また、パートナーが企業の文化や価値観に合うかどうかも評価ポイントとなります。

4. 契約の締結と条件設定

パートナーが決定したら、正式に契約を締結します。契約には、サービスレベルアグリーメント(SLA)、料金体系、プロジェクトの範囲、スケジュール、コミュニケーション方法など、詳細な条件を明記します。これにより、期待する成果を確実に得るための基盤が築かれます。

5.成果の監視と継続的な改善

契約締結後は、定期的にレビューを行い、アウトソーシングの成果を監視します。パフォーマンス評価やフィードバックを通じて、必要に応じて改善を行います。また、新たなニーズが発生した場合には、パートナーとの協議を重ねて柔軟に対応します。これにより、長期的なパートナーシップが構築され、持続的な成長が期待できます。

ITアウトソーシングは、適切なプロセスを経ることで、企業にとって大きなメリットをもたらす戦略的な選択肢となります。正確なニーズの把握、信頼できるパートナーの選定、そして効果的な契約管理と成果監視が成功の鍵となります。

ITアウトソーシングの活用事例

ここからはITストソーシングにおける具体的な活用事例を通じて、その効果と実際の運用方法について詳しく解説します。

事例1: 中小企業のITインフラ管理

企業背景

ある中小企業は、急速に成長する中でITインフラの管理に課題を抱えていました。社内に専任のITスタッフを持つ余裕がなく、サーバーの保守、ネットワーク管理、セキュリティ対策などが十分に行えずにいました。

アウトソーシングの実施

この企業は、ITインフラの管理を専門とするアウトソーシング会社と契約しました。サービスには24時間365日の監視、定期的なメンテナンス、セキュリティ対策が含まれていました。

成果

アウトソーシングの結果、システムダウンタイムが大幅に減少し、セキュリティインシデントも最小限に抑えられました。また、IT関連のトラブルシューティングが迅速に行われるようになり、社内のスタッフは本来の業務に集中できるようになりました。

事例2: 大手製造業のERPシステム導入

企業背景

大手製造業の企業は、効率的な業務運営を目指してERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入を検討していました。しかし、システムの設計・開発・運用に必要なリソースと専門知識が社内には不足していました。

アウトソーシングの実施

この企業は、ERPシステムの導入と運用を専門とするITアウトソーシング会社と提携しました。アウトソーシングパートナーは、要件定義からシステム設計、実装、テスト、トレーニング、運用サポートまでの全プロセスを担当しました。

成果

ERPシステムの導入が計画通りに進み、業務プロセスの効率化が実現されました。生産計画の最適化、在庫管理の改善、財務管理の効率化など、具体的な効果が現れ、全体的な業務効率が向上しました。また、システム運用に関するトラブルが発生した場合も、迅速に対応できる体制が整備されました。

事例3: Eコマース企業のカスタマーサポート

企業背景

急成長中のEコマース企業は、顧客数の増加に伴いカスタマーサポートの負担が増大していました。社内のカスタマーサポートチームだけでは対応が追いつかず、顧客満足度の低下が懸念されていました。

アウトソーシングの実施

この企業は、カスタマーサポートを専門とするアウトソーシングパートナーに業務を委託しました。アウトソーシングの範囲には、メール・電話・チャットサポートの対応、FAQの作成、トラブルシューティングなどが含まれていました。

成果

アウトソーシングにより、カスタマーサポートの対応速度と品質が向上し、顧客満足度が大幅に改善されました。ピーク時の問い合わせにもスムーズに対応できるようになり、顧客からの信頼も向上しました。社内のカスタマーサポートチームは、戦略的な顧客関係管理や改善施策に集中できるようになりました。

事例4: 金融機関のセキュリティ強化

企業背景

ある金融機関は、サイバー攻撃のリスクが増大する中で、セキュリティ対策の強化が急務となっていました。しかし、最新のセキュリティ技術や脅威インテリジェンスに関する専門知識が社内には不足していました。

アウトソーシングの実施

金融機関は、セキュリティ対策を専門とするITアウトソーシング会社と契約しました。アウトソーシングの範囲には、24時間体制のセキュリティ監視、脅威インテリジェンスの提供、定期的な脆弱性診断、インシデント対応のサポートが含まれていました。

成果

アウトソーシングの結果、セキュリティインシデントの早期検出と迅速な対応が可能となり、サイバー攻撃による被害を最小限に抑えることができました。さらに、セキュリティ対策の最新情報を常に取得し、適切な対策を講じることで、セキュリティレベルが大幅に向上しました。

まとめ

ITアウトソーシングとは、企業が自社のIT関連の業務を外部の専門業者に委託することです。ITアウトソーシングには様々なメリットがありますが、リスクもあります。ITアウトソーシングを成功させるためには、委託する業務内容や契約条件を明確にし、自社に必要なサービス範囲や信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。ITアウトソーシングで委託できる業務内容は、システムデリバリー、ツール保守、コンサルなどがあります。それぞれの業務内容には、メリットや注意点があります。ITアウトソーシングを利用する際には、自社とサービス会社の規模や企業文化の共有など、長く信頼関係を築いていけるかも業者を選ぶポイントの一つとなるでしょう。

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