【専門解説】ストレージサービスとは?種類・比較・選定ポイントを徹底ガイド
データが企業の資産と呼ばれる時代、ストレージサービスは「業務の土台」として欠かせない存在になりました。
文書や画像、動画、バックアップデータなど、企業活動のあらゆる情報は保存・共有・保護の仕組みの上に成り立っています。
近年はクラウドの普及により、従来のローカル保存やNAS(Network Attached Storage)から、クラウドストレージを中心とした柔軟なデータ管理へと移行が進んでいます。
本記事では、ストレージサービスの基本概念・種類・メリットとデメリット・代表的なサービス比較・セキュリティ対策・導入選定ポイントまでを体系的に解説します。
特に「Google Drive」「OneDrive」「Dropbox Business」「Box」「AWS S3」など主要クラウドの特徴を整理し、2025年以降の選定基準と運用トレンドを実務目線でまとめました。
目次
ストレージサービスとは?基本概念と仕組み
ストレージの定義(データ保存・共有・保護の役割)
ストレージサービスとは、データを安全かつ効率的に保存・管理・共有するための仕組みを指します。
単に「ファイルを置く場所」ではなく、企業の情報資産を守りながら業務効率を高めるインフラです。
主な機能には以下があります:
- データの保存・同期・バックアップ
- アクセス権限による安全な共有
- バージョン管理・ログ記録による監査性
- 暗号化・冗長化によるデータ保護
ローカルストレージとクラウドストレージの違い
項目 | ローカル/NAS型 | クラウドストレージ |
---|---|---|
保存場所 | 自社サーバ・オンプレ環境 | データセンター(インターネット経由) |
導入コスト | 初期費用が高い | 初期費用ほぼ不要 |
拡張性 | 機器増設が必要 | 容量拡張が容易 |
管理性 | 自社管理・メンテ必要 | ベンダーが管理 |
可用性 | 災害時に弱い | 地理的冗長化で高い |
クラウドは拡張性・可用性で優れていますが、セキュリティや法令遵守面では慎重な設計が求められます。
ストレージサービスが求められる背景(DX・リモートワーク・災害対策)
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やテレワークの定着により、「どこでも安全にアクセスできる」ストレージ基盤が必須になっています。
また地震・火災・停電などの災害対策や、ランサムウェア感染時の復旧にもクラウドバックアップが活躍しています。
ストレージサービスの種類と特徴
クラウドストレージ(Google Drive/Dropbox/OneDriveなど)
インターネットを通じて利用するストレージ。
企業アカウント単位で管理でき、ファイル共有・アクセス制御・共同編集が可能です。
SaaSとの親和性が高く、Google WorkspaceやMicrosoft 365と連携しやすい点が特徴です。
オンラインストレージ(共有・転送特化型)
ギガファイル便やFirestorageなど、短期的なファイル共有・転送を目的としたサービス。
保存・共有期間が限定される反面、手軽に使える利点があります。業務では補助的な用途に向きます。
NAS・オンプレミス型ストレージ
自社に設置する物理サーバやNAS(Network Attached Storage)。
社内ネットワークで運用し、機密性が高い環境に適しています。
ただし、初期費用・保守・災害時リスクを考慮する必要があります。
オブジェクトストレージ(AWS S3/Azure Blob/Google Cloud Storage)
クラウドネイティブアプリやバックアップ基盤に最適な構造化データ管理方式。
APIで柔軟に接続でき、耐久性・可用性が非常に高いのが特徴です。
ビッグデータやAI学習データの保存にも活用されています。
企業が導入する際のメリット・デメリット
クラウドストレージの利点(拡張性・可用性・コスト最適化)
- 初期投資を抑えられる(OPEXモデル)
- 自動バックアップ・冗長化により高可用性
- 外部との安全な共有・共同編集が可能
- グローバル拠点間でリアルタイム連携
オンプレミス導入の強みと課題(セキュリティ・制御性)
オンプレは完全制御できる反面、コストや管理負荷が高くなります。
「社外接続を遮断できる」「データ主権を維持できる」点で政府機関・金融・医療では依然強い需要があります。
ハイブリッド構成の活用事例
クラウドとオンプレの併用が増加。
例:日常業務データはクラウド、機密データはオンプレに保存。
これによりセキュリティ・コスト・利便性を最適化できます。
主要ストレージサービス比較【2025年版】
サービス名 | 主な特徴 | 容量/料金 | セキュリティ |
---|---|---|---|
Google Drive for Business | Workspace統合・共同編集に強い | 2TB〜無制限(プラン制) | AES256暗号化、2FA対応 |
Microsoft OneDrive/SharePoint | Office365連携、権限管理が強力 | 1TB〜無制限 | Azure AD連携、DLP対応 |
Dropbox Business | シンプルUI・履歴管理が優秀 | 3TB〜無制限 | SSL/TLS、ファイル復元 |
Box Business | セキュリティ重視・企業利用中心 | 100GB〜無制限 | CASB・監査ログ対応 |
AWS S3/Wasabi | 開発者向け、API接続が強み | 従量課金制 | オブジェクトレベル暗号化 |
ストレージサービスのセキュリティと管理
暗号化方式(転送・保存時)
転送時にはTLS/SSL通信、保存時にはAES-256など強力な暗号化が標準。
さらに顧客側での鍵管理(KMS)やサーバー側暗号化の併用により安全性が高まります。
アクセス権限・認証・ログ管理
ゼロトラストの考え方に基づき、ユーザー・デバイス・場所ごとに認証制御を実施します。
アクセスログや操作履歴を可視化できる仕組みを備えたサービスを選定することが重要です。
コンプライアンス(ISO27001・GDPR・国内法対応)
企業利用ではISO27001やSOC2 Type2認証を取得しているか確認が必須。
また、個人情報保護法・GDPRなど地域法制への準拠も重要な選定ポイントです。
社内ルール設計と情報漏えい対策
技術対策だけでなく、運用ルールを明確化することが鍵です。
例:共有リンクの有効期限設定、パスワード保護、アクセス権限の定期見直しなど。
導入時の検討ポイントと選定基準
利用目的別の選び方(共有/バックアップ/アーカイブ)
- 共有中心:Google Drive/OneDrive/Box
- バックアップ中心:AWS S3/Wasabi/NAS
- アーカイブ中心:低頻度アクセス向けストレージ(Glacierなど)
ユーザー数・容量・拡張性の判断基準
従業員規模・データ増加率を基に容量設計を行い、将来的な拡張計画を立てることが重要です。
コストシミュレーションと契約形態(従量制・年額制)
クラウドは従量課金型、法人プランは年額固定型が主流。
利用パターンに合わせて最適化を行いましょう。
運用負荷・管理コストの比較
オンプレは管理者の常駐が必要ですが、クラウドでは自動更新・バックアップにより運用負荷が軽減します。
企業での活用事例と運用ノウハウ
チーム間ファイル共有の効率化
社内外のメンバーとリアルタイムに共同編集が可能。特にOneDriveやGoogle DriveはOfficeファイル連携に強みがあります。
バックアップ・災害対策への応用
クラウドをバックアップ領域として活用する「3-2-1ルール」(3つのコピー、2種類のメディア、1つはオフサイト)が推奨されています。
BYOD・テレワーク環境下での利用事例
端末認証やSSO連携により、個人端末からでも安全に業務データへアクセス可能です。
VPNレス環境でもゼロトラスト基盤で安全を担保できます。
今後のストレージサービス動向【2025年以降】
AIによる自動分類・重複削除技術
AIがファイル内容を分析し、自動でフォルダ分類や重複削除を行う「スマートストレージ化」が進展。
業務効率と容量削減を同時に実現します。
ゼロトラスト時代のデータ保護設計
「認証された通信でも信用しない」設計が主流化。アクセス要求ごとにポリシーを適用し、不正アクセスを未然に防ぎます。
分散ストレージ・エッジコンピューティングとの連携
データを地理的に分散して保存する「分散ストレージ」や、エッジ機器と連携したリアルタイム処理が次世代の方向性です。
まとめ|ストレージサービス選定の最適解とは
目的に応じた選定のフレームワーク
- 目的を明確化(共有/バックアップ/保護)
- データの機密性を評価
- コスト・拡張性・法令対応を比較
- 運用体制と責任範囲を明確化
長期的なコスト・セキュリティ・運用性を考慮する視点
ストレージ選定は単なる容量比較ではなく、セキュリティ・運用負荷・将来の拡張性を見据えた経営判断です。
「どこに保存するか」ではなく、「どう守り、どう活かすか」。
それが2025年以降のデータ戦略の核心となります。
投稿者プロフィール

- スータブル・ソリューションズは日々のITに関するQ&Aから、ITインフラ周りの構築・保守サポートまでワンストップで対応します。IT化の信頼おけるパートナーとして貴社に最適なソリューションを提案し、課題解決にオーダーメイド型のサービスを提供します。
【有資格】
■事業免許
総務省 届出電気通信事業者 A-10-3067号
東京都公安委員会 事務機器商営業許可 第306660205689号
東京都 産業廃棄物収集運搬許可 第13-00-119879号
神奈川県 許可番号 01400119879号
■取得認証
情報セキュリティマネジメントシステムISO27001認証(登録番号 JUSE-IR-402)
情報処理支援機関「スマートSMEサポーター」(認定番号 第16号-21100052(18))
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