NASサーバーとは?基本から活用方法まで解説

ネットワークに接続して複数の端末からファイル共有/保存ができる装置、それが NAS(Network Attached Storage)サーバー です。家庭や小規模オフィスでも手軽に導入でき、データの一元管理やバックアップ、メディアサーバー機能など、多彩な活用法があります。本記事では、NASの仕組みやメリット、導入時の注意点、おすすめ機種までを初心者にもわかりやすく解説します。

NASの仕組みと企業・個人での活用法

NASは「ファイルサーバー専用機」と考えるとイメージしやすいでしょう。内部にHDD/SSDを搭載し、LANケーブルでルーターやスイッチに接続。専用OS(Linuxベースが多い)によってファイルシステムを提供します。

  • ファイル共有:WindowsのSMB/CIFS、macOSのAFP、LinuxのNFSといったプロトコルでフォルダをマウント。
  • ユーザー管理:複数ユーザーのアカウント・アクセス権限を設定し、機密データを適切に制御。
  • バックアップ:PCや他のNAS、クラウドストレージなどへの定期的なバックアップジョブを自動化。
  • メディアサーバー:DLNA/Plex対応で、動画や音楽を家庭内テレビ/スマホにストリーミング。
  • クラウド連携:Google Drive/OneDrive/Dropboxと同期し、オフサイト保存も実現。

企業では、部署ごとの共有フォルダや監査ログ保管、仮想マシンのストレージとして利用。個人では、写真・動画の自動保存、ホームレコーディングの録音データ管理などに便利です。

NASとクラウドストレージの違い

  • 初期導入コスト:NASは本体+HDD購入が必要。一方、クラウドは初期無料で利用開始可。
  • ランニングコスト:NASは電気代・保守のみ、容量増設も任意。クラウドは容量や転送量に応じた月額課金。
  • 速度/レイテンシ:自宅・社内LAN内ならギガビットLANで数百MB/s超。クラウドは回線品質に依存。
  • 可用性:NASは停電対策・RAID冗長化が必須。クラウドはデータセンター冗長化が標準。
  • セキュリティ:NASはファイアウォール/VPN設定が必要。クラウドはプロバイダーが物理・ネットワーク両面を担保。

NAS導入のメリットと注意点

メリット

  • 高速アクセス:LAN内なら大容量ファイルの読み書きも快適。
  • 運用コスト低減:クラウド容量課金と比べ、長期的にコストが安価。
  • プライバシー保護:データが手元にある安心感。

注意点

  • 電源・筐体故障リスク:RAID導入やUPS(無停電電源装置)を併用し、データ損失を防ぐ。
  • 管理負荷:OSアップデートやセキュリティパッチはユーザー責任。
  • 初期設定の難易度:VPNやSSL設定を誤ると、不正侵入や情報漏洩の原因に。

NASサーバーの選び方

NAS選定のポイントは「用途」「性能」「拡張性」「サポート」です。CPU性能、搭載メモリ量、ネットワークポート数(1GbE / 2.5GbE / 10GbE)、HDDスロット数を比較しましょう。

人気メーカー別のおすすめ機種

  • Synology(シノロジー)
    DiskStation DS220+:CPUデュアルコア、メモリ2GB、HDD2台用スロット、DSM OSで豊富なアプリ。
  • QNAP(キューナップ)
    TS-231K:クアッドコアCPU、2GBメモリ、HDMI出力対応、Virtualization Stationも搭載。
  • Buffalo(バッファロー)
    LinkStation LS220D:導入コスト重視の2Bayモデル、簡単セットアップ機能。
  • TerraMaster(テラマスター)
    F2-221:Intelデュアルコア搭載、2.5GbEポート、コストパフォーマンス良好。

企業向けNASと個人向けNASの違い

項目企業向けNAS個人向けNAS
冗長化RAID5/6/10サポート、ホットスワップ対応RAID1/0程度、ホットスワップなしモデルも
ネットワーク10GbE対応、VLAN/LAG対応1GbEまたは2.5GbEが主流
サポート24h電話サポート、部品翌日到着保証メール/フォーラム中心、保証1~3年
仮想化・コンテナDocker/VM対応、iSCSIターゲットで仮想マシンが稼働可能軽量アプリケーション向け

まとめ:NASサーバーの活用でデータ管理を最適化

NASサーバーは、高速なファイル共有コスト抑制プライバシー保護を両立できる強力なストレージソリューションです。導入にあたっては、

  1. 用途の明確化(バックアップ/メディア共有/仮想化)
  2. 必要な性能要件(CPU・メモリ・ネットワーク)
  3. 冗長化・UPS導入による可用性確保
  4. OSアップデート・セキュリティ管理の運用体制

を押さえれば、家庭から企業まで幅広く安定したデータ管理環境を構築できます。ぜひ本記事を参考に、ご自身に最適なNASサーバーを選んでみてください。

投稿者プロフィール

スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズは日々のITに関するQ&Aから、ITインフラ周りの構築・保守サポートまでワンストップで対応します。IT化の信頼おけるパートナーとして貴社に最適なソリューションを提案し、課題解決にオーダーメイド型のサービスを提供します。

【有資格】
■事業免許
総務省 届出電気通信事業者 A-10-3067号
東京都公安委員会 事務機器商営業許可 第306660205689号
東京都 産業廃棄物収集運搬許可 第13-00-119879号
神奈川県 許可番号 01400119879号

■取得認証
情報セキュリティマネジメントシステムISO27001認証(登録番号 JUSE-IR-402)
情報処理支援機関「スマートSMEサポーター」(認定番号 第16号-21100052(18))