ITサポートを内製化する際のポイントと注意点

企業にとって、IT環境は事業の安定と成長を支える重要な基盤です。クラウドサービスの活用、セキュリティ対策、テレワークの普及などにより、ITの重要性はますます高まっています。その中で、「ITサポートを外注すべきか、それとも内製化すべきか」という判断に悩む企業は少なくありません。

本記事では、ITサポートを内製化する際のメリットとデメリットを整理し、成功させるためのポイントと注意点 を解説します。

ITサポートの内製化とは?

ITサポートの内製化とは、社内に専任のIT担当者やチームを設置し、システム運用・ヘルプデスク・セキュリティ管理などを自社で対応する体制を整えることを指します。

  • 社員のITトラブル対応(ヘルプデスク)
  • ネットワークやサーバーの監視・保守
  • 業務システムやクラウドサービスの導入・運用
  • セキュリティ管理やインシデント対応
  • IT資産(PC、ライセンス)の管理

これらを外注せずに社内リソースで完結させることが「内製化」です。

ITサポートを内製化するメリット

1. 社内にノウハウが蓄積される

内製化の最大の利点は、IT運用の知識やノウハウが社内に残る点です。長期的に見ると、自社の業務フローや文化に最適化されたIT運用が可能になります。

2. 業務スピードが向上する

外注の場合、トラブル発生時に問い合わせから解決までにタイムラグが発生します。内製化すれば、社内担当者がすぐに対応できるため、解決までの時間を短縮できます。

3. 自社特有のニーズに柔軟対応できる

企業ごとに業務システムや運用方法は異なります。内製化すれば、自社の特殊な要件に合わせて柔軟にIT環境をカスタマイズできます。

4. 情報漏洩リスクを軽減できる

外注先にシステムやデータを委ねる場合、契約やセキュリティ体制によっては情報漏洩リスクが高まります。内製化すれば社内で管理できるため、リスクを抑制可能です。

ITサポートを内製化するデメリット

1. IT人材の確保が難しい

IT人材は慢性的に不足しており、優秀な人材を採用・育成するのは容易ではありません。特に中小企業にとっては人件費の負担が大きくなります。

2. コストが高くなる場合がある

初期投資(人件費、教育、機器導入費用)がかかるため、短期的には外注よりコストが増大する可能性があります。

3. 技術の陳腐化リスク

IT分野は進化が早く、最新技術を追い続けるのは容易ではありません。社内人材が学習を怠ると、システムが陳腐化してしまいます。

4. 24時間対応が難しい

内製化の場合、夜間や休日に障害が発生すると即時対応できないリスクがあります。

ITサポートを内製化する際のポイント

1. 内製化と外注のバランスを取る

すべてを内製化する必要はありません。

  • 社内特有の業務や即応性が必要な部分 → 内製化
  • 専門知識や常時監視が必要な部分 → 外注

というように、ハイブリッド体制を構築するのが現実的です。

2. 人材育成を継続する

IT担当者に研修や資格取得を促し、最新の知識をキャッチアップできる体制を整えることが重要です。

3. 内製化の範囲を明確にする

「ヘルプデスクだけは内製化する」「セキュリティ診断は外注する」といったように、業務範囲を切り分けると無理のない体制が構築できます。

4. コストシミュレーションを行う

内製化による人件費、教育コスト、機器運用費を試算し、外注と比較した費用対効果を明確にしましょう。

5. 内部統制を整える

権限管理、運用マニュアル作成、セキュリティポリシー策定など、属人化を防ぐ仕組みが不可欠です。

内製化に向いている企業の特徴

  • ITをコア業務として活用している企業(例:SaaS企業、ITサービス業)
  • 社員数が多く、ヘルプデスク対応の件数が膨大な企業
  • 高度なセキュリティ要件を持ち、外部に任せにくい企業
  • 長期的にITノウハウを蓄積して競争優位を築きたい企業

内製化に向かない企業の特徴

  • IT専任者を雇用するリソースがない中小企業
  • 夜間・休日のシステム監視が必要な企業
  • 常に最新のセキュリティ対策を求められるが、人材育成が追いつかない企業

こうした企業は、完全内製化ではなく 部分的な外注との組み合わせ を検討すべきです。

ITサポートを内製化する際の注意点

  1. 属人化を避ける
    特定の社員に業務が集中すると退職時に大きなリスクが残ります。チームで分担し、マニュアル化を徹底しましょう。
  2. 業務範囲を拡げすぎない
    全てを内製化しようとすると過負荷になります。優先度をつけて範囲を絞ることが大切です。
  3. 外部ベンダーとの連携を維持する
    内製化しても、専門的な分野は外部と協力する関係を維持する方が安定します。
  4. 定期的に効果を検証する
    内製化によるコスト削減・業務効率化の効果を定期的に測定し、改善につなげましょう。

まとめ:内製化は戦略的に行うことが重要

ITサポートを内製化することは、ノウハウの蓄積や柔軟な対応といった大きなメリットをもたらします。しかし一方で、人材不足やコスト負担、技術陳腐化といったリスクも存在します。

成功の鍵は、

  • 自社に適した範囲で内製化すること
  • 人材育成と内部統制を徹底すること
  • 外注と内製化をバランスよく組み合わせること

にあります。

ITサポートの内製化は、単なるコスト削減策ではなく、企業の成長戦略の一環として位置づけるべきです。自社の課題やリソースを正しく見極め、長期的な視点で判断することが求められます。

投稿者プロフィール

スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズサービス担当者
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【有資格】
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東京都 産業廃棄物収集運搬許可 第13-00-119879号
神奈川県 許可番号 01400119879号

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