【プロが直伝】社内LANが遅い5つの原因と解決策|通信速度を劇的に改善するチェックリスト

【プロが直伝】社内LANが遅い5つの原因と解決策|通信速度を劇的に改善するチェックリスト

「Web会議がカクつく」「共有サーバーのファイルが開かない」「朝の9時になると急に重くなる」

2026年現在、4Kビデオ会議の普及やクラウドストレージ(OneDrive/Google Drive)の同期、さらには生成AIツールの常時利用により、社内LANが処理すべきデータ量は数年前の10倍以上に膨れ上がっています。

本記事では、社内LANが遅い原因を特定するための「プロの調査手法」から、物理・論理両面での解決策、そして経営層を説得するためのコスト換算まで、網羅的に解説します。


1. 【原因調査】ボトルネックを特定する「3段階切り分け法」

原因不明のまま機器を買い換えるのは無駄な投資です。まずは、どこに「詰まり(ボトルネック)」があるのかを科学的に特定しましょう。

① 範囲の特定(スコープ・アイソレーション)

  • 「特定の一人だけ」が遅い場合:
    • PC端末のスペック不足(メモリ8GB未満など)
    • LANケーブルの半差し、または断線
    • NIC(ネットワークカード)のドライバが古い
  • 「特定の部署・島」が遅い場合:
    • そのエリアを束ねる「フロアスイッチ(ハブ)」の故障
    • ハブのループ接続(パケットストーム)
    • Wi-Fiアクセスポイント(AP)への接続集中
  • 「会社全体」が遅い場合:
    • ルーター、UTM(統合脅威管理)の処理能力不足
    • プロバイダー(ISP)の混雑
    • 基幹スイッチ(コアスイッチ)の帯域不足

② 時間帯と事象の特定

  • 始業直後・昼休み明けに遅い: 全社員が一斉にPCを起動し、OSのアップデートやクラウド同期が走ることによる「セッション数オーバー」。
  • Web会議中だけカクつく: 下りの速度ではなく、上り(アップロード)の帯域不足、または「ジッター(遅延の揺らぎ)」の問題。

③ コマンドを用いた「プロの診断術」

Windowsのコマンドプロンプト(またはPowerShell)を使い、どこで遅延が起きているかを確認します。

実行コマンド:tracert 8.8.8.8

このコマンドを打つと、自社のPCからGoogleのサーバーに届くまでの各経路(ホップ)の応答速度がわかります。

  • 1番目(社内ルーター)で30ms以上かかっていれば、社内LAN内に原因。
  • 4〜5番目(プロバイダー以降)で遅ければ、回線契約に原因。

2. 【徹底比較】社内LANが遅い5つの主要原因と解決策

2026年のオフィス環境で発生しがちな原因を、解決優先度の高い順に表にまとめました。

原因別:対策・コスト・改善度一覧

原因項目具体的な症状解決策(アクション)期待できる改善度概算費用
1. 機器の性能限界多人数接続でルーターがハングアップする法人向けハイエンドルーター/10Gスイッチへ刷新★★★★★5万〜50万円
2. Wi-Fi規格の古さ無線接続時だけビデオ会議が途切れるWi-Fi 6E / Wi-Fi 7へのリプレイス★★★★☆3万〜10万円/台
3. LANケーブル規格1Gbps回線なのに実測が90Mbps以下Cat6A以上のケーブルへ張り替え★★★☆☆数千円〜/箇所
4. プロバイダー混雑夜間や特定の時間帯だけ極端に遅いIPoE(IPv6)接続への切り替え★★★★☆月額+千円程度
5. セキュリティ負荷UTM導入後からネット全体が重くなったUTMのスループット性能の再設計★★★☆☆20万〜100万円

3. 各原因の詳細解説と「プロの解決策」

原因①:ネットワーク機器(ルーター・ハブ)の「セッション数」不足

多くの企業が陥るのが、「1Gbps対応」という言葉に騙されることです。

  • 実態: 安価なルーターは、通信速度こそ1Gbps出ても、同時に処理できる「セッション数(通信の通り道)」が数千程度しかありません。
  • 2026年の現実: 一人の社員がブラウザ、Slack、Zoom、クラウド同期を同時に使うと、一人で数百セッションを消費します。
  • 解決策: セッション保持数が5万〜10万以上の「法人向けルーター(例:Yamaha RTXシリーズ、Cisco ISR等)」を選定してください。

原因②:Wi-Fi 7 / 6E への移行遅れによる電波干渉

隣接するオフィスからのWi-Fi電波が干渉し、速度が低下しているケースです。

  • 実態: 従来の2.4GHz/5GHz帯は既に飽和状態です。
  • 解決策: Wi-Fi 6EまたはWi-Fi 7を導入し、新しく解放された「6GHz帯」を利用します。これにより、誰にも邪魔されない「専用レーン」で通信が可能になります。

原因③:LANケーブルの「カテゴリー」の罠

床下や壁の中に隠れているLANケーブルが、15年以上前の「Cat5(カテゴリ5)」のままになっていませんか?

  • 判別方法: ケーブルの側面に印字されている文字を確認してください。「CAT.5」とあれば最大100Mbps、「CAT.5e」以上であれば1Gbps対応です。
  • 推奨: これからのスタンダードはCat6A(カテゴリ6A)です。10Gbps通信に対応し、ノイズ遮蔽性にも優れているため、ビデオ会議の安定性が格段に向上します。

原因④:PPPoE接続による「網終端装置」の渋滞

NTTの光回線自体は速くても、プロバイダーとの接続点(網終端装置)がボトルネックになっているパターンです。

  • 解決策: 「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続に切り替えます。これは「トンネルを通らずにバイパスを通る」ような仕組みで、混雑ポイントを完全に回避できます。追加費用なし、あるいは月額数百円で劇的に改善する「最強のコスパ対策」です。

4. 【保存版】通信速度を劇的に改善するチェックリスト

自社の環境を以下の順でチェックしてください。3つ以上「×」がある場合は、ネットワークの根本的な再設計が必要です。

  • [ ] 【物理層】 LANケーブルは全て「Cat5e」以上、できれば「Cat6A」になっているか?
  • [ ] 【機器層】 ハブのランプがオレンジ色(100Mbps動作)で点灯している箇所はないか?
  • [ ] 【無線層】 Wi-Fiアクセスポイントは1台あたり接続台数30台を超えていないか?
  • [ ] 【回線層】 プロバイダー契約は「IPoE(IPv6)」対応になっているか?
  • [ ] 【設定層】 ルーターのファームウェアは最新(2025年以降のもの)に更新されているか?
  • [ ] 【DNS】 DNSサーバー設定を Google Public DNS(8.8.8.8 / 8.8.4.4)に変えて改善するか?

5. 経営層への「改善コスト」提案のロジック

「ネットが遅いから直したい」という訴えは、経営層には響きません。以下のような「損失コスト換算」で提案しましょう。

例:社員50名の会社で、ネットの遅延により1人1日5分のロスが発生している場合

  • 5分 × 50名 = 250分(約4.1時間)の損失/日
  • 月間(20日)で 約82時間 の損失
  • 平均時給3,000円で換算すると、毎月 246,000円 をドブに捨てている計算になります。
  • → 50万円の設備投資をすれば、わずか2ヶ月で元が取れる計算です。

まとめ:社内LANの遅さは「ビジネスの機会損失」

2026年、インターネットはもはや単なる道具ではなく、ビジネスを支える「脊髄」です。社内LANの遅さを放置することは、社員に「錆びた道具」で戦わせているのと同じです。

まずは本記事のチェックリストを活用し、原因が「ケーブル」なのか「ルーター」なのか「回線」なのかを切り分けてください。もし自社での判断が難しい場合は、プロのネットワーク診断を依頼することも検討しましょう。

速度改善は、単なるストレス解消ではなく、「生産性向上という名の利益創出」なのです。

投稿者プロフィール

スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズは日々のITに関するQ&Aから、ITインフラ周りの構築・保守サポートまでワンストップで対応します。IT化の信頼おけるパートナーとして貴社に最適なソリューションを提案し、課題解決にオーダーメイド型のサービスを提供します。

【有資格】
■事業免許
総務省 届出電気通信事業者 A-10-3067号
東京都公安委員会 事務機器商営業許可 第306660205689号
東京都 産業廃棄物収集運搬許可 第13-00-119879号
神奈川県 許可番号 01400119879号

■取得認証
情報セキュリティマネジメントシステムISO27001認証(登録番号 JUSE-IR-402)
情報処理支援機関「スマートSMEサポーター」(認定番号 第16号-21100052(18))