シングルサインオン(SSO)とは?仕組み・メリット・導入方法をわかりやすく解説

シングルサインオン(SSO)とは、一度のログインで複数のシステムやサービスを利用できる認証の仕組みです。企業のクラウド活用やリモートワークの普及により、ID管理の効率化とセキュリティ強化を同時に実現できる仕組みとして注目されています。本記事では、SSOの基本から仕組み、認証方式の違い、メリット・デメリット、代表的なサービスまでを網羅的に解説します。

シングルサインオン(SSO)とは?

シングルサインオンの基本的な意味

シングルサインオン(Single Sign-On)とは、ユーザーが一度認証を行うだけで、複数のWebサービスや業務システムに再ログインなしでアクセスできる仕組みです。従来はサービスごとにID・パスワードを管理する必要がありましたが、SSOでは認証を一元管理できます。

なぜ注目されているのか

クラウドサービスの利用増加により、社員が日常的に利用するシステムは増え続けています。その結果、ID・パスワードの管理負荷や使い回しによるセキュリティリスクが問題となりました。SSOはこれらの課題を解決する手段として、多くの企業で導入が進んでいます。

SSOと通常のログイン方式の違い

通常のログイン方式では、各サービスが個別に認証を行います。一方SSOでは、認証サーバーがユーザーを認証し、その結果を各サービスが信頼することでログインが成立します。この「認証の委任」がSSOの最大の特徴です。

シングルサインオンの仕組み

認証サーバーとサービスの関係

SSOでは、認証を担う「認証サーバー(IdP)」と、実際に利用する「サービス(SP)」が連携します。ユーザーはIdPでログインし、SPはその認証結果を受け取ることで利用を許可します。

ログインから利用までの流れ

ユーザーがサービスへアクセスすると、未認証の場合は認証サーバーへリダイレクトされます。ログインが完了すると、認証情報が返却され、その後は複数サービスを再ログインなしで利用できます。

オンプレミス型とクラウド型の違い

オンプレミス型は自社内で認証基盤を構築・運用する方式で、柔軟性が高い反面、管理負荷が大きくなります。クラウド型はIDaaSとして提供され、運用負荷を抑えつつ迅速に導入できる点が特徴です。

代表的なシングルサインオンの認証方式

SAML認証とは

SAMLは企業向けSSOで広く利用されている認証方式です。XMLベースで認証情報をやり取りし、業務システムやSaaSとの連携に強みがあります。

OAuthとは

OAuthは認可の仕組みとして設計され、SNS連携ログインなどで多く使われています。ユーザーのパスワードを共有せずにアクセス権を委譲できる点が特徴です。

OpenID Connectとは

OpenID ConnectはOAuth 2.0を拡張した認証方式で、ユーザー認証と属性情報の取得を可能にします。モダンなWebサービスで主流となっています。

それぞれの違いと使い分け

企業の業務システムではSAML、WebサービスやAPI連携ではOAuthやOpenID Connectが適しています。用途や既存システムに応じた選択が重要です。

シングルサインオンのメリット・デメリット

シングルサインオンのメリット

SSOによりID・パスワード管理が一元化され、運用負荷が大幅に軽減されます。また、パスワード使い回し防止や多要素認証との併用により、セキュリティ向上にも寄与します。ログイン回数削減によるUX改善も大きな利点です。

シングルサインオンのデメリット

初期設計や設定が複雑で、専門知識が求められる点がデメリットです。また、認証基盤に障害が発生すると、連携サービスすべてに影響が及ぶ可能性があります。

シングルサインオンと他の認証方式の違い

ベーシック認証との違い

ベーシック認証は簡易的なアクセス制限であり、SSOのようなID一元管理や高度なセキュリティ機能は備えていません。

多要素認証(MFA)との違い

MFAは認証強度を高める仕組みであり、SSOとは補完関係にあります。SSO+MFAの組み合わせが理想的です。

IDaaSとの関係

IDaaSはクラウド型ID管理サービスで、SSO機能を中核として提供されています。

シングルサインオンの導入方法

自社開発で導入する場合

柔軟な設計が可能ですが、開発・運用コストが高くなります。

SSO対応サービスを利用する場合

Google WorkspaceやMicrosoft Entra IDなどを利用することで、短期間かつ低負荷で導入できます。

導入時のチェックポイント

対応認証方式、既存システムとの連携可否、MFA対応、障害時の運用体制を事前に確認しましょう。

シングルサインオン対応の代表的なサービス

Google Workspace

Googleアカウントを基盤としたSSOで、多くのSaaSと連携可能です。

Microsoft Entra ID(旧Azure AD)

Microsoft 365との親和性が高く、企業利用で広く採用されています。

Okta

SSO・MFA・ID管理を包括的に提供する代表的IDaaSです。

その他SSOツール

OneLogin、Auth0なども用途に応じて選択肢となります。

シングルサインオン導入が向いているケース

複数サービスを利用している企業

利用システムが多いほどSSOの効果は高まります。

リモートワーク・クラウド活用企業

場所を問わない安全なアクセス管理が可能になります。

セキュリティ強化を重視する場合

MFAと組み合わせることで、強固な認証基盤を構築できます。

FAQ|シングルサインオン(SSO)に関するよくある質問

Q1. シングルサインオンとID・パスワード管理ツールの違いは何ですか?

SSOは認証そのものを一元化する仕組みであるのに対し、ID・パスワード管理ツールは情報を保管・入力支援する役割が中心です。SSOでは認証サーバーを信頼することで複数サービスにログインでき、より高いセキュリティと運用効率を実現できます。

Q2. シングルサインオンは中小企業でも導入できますか?

可能です。近年はGoogle WorkspaceやMicrosoft Entra ID、Oktaなどクラウド型IDaaSが充実しており、初期費用を抑えて導入できます。特にSaaS利用が多い中小企業ほど効果を実感しやすい仕組みです。

Q3. SSOを導入するとセキュリティは本当に向上しますか?

適切に設計・運用すれば向上します。パスワードの使い回し防止やアクセス制御の一元化に加え、多要素認証(MFA)を組み合わせることで、不正ログインリスクを大幅に低減できます。

Q4. 障害が起きた場合、すべてのサービスが使えなくなりますか?

認証基盤に障害が発生すると影響範囲が広がる可能性があります。そのため、冗長構成や障害時の運用ルール、緊急用アカウントの用意などが重要です。

Q5. SAMLとOpenID Connectはどちらを選ぶべきですか?

既存の業務システムやSaaS中心であればSAML、モダンなWebサービスやAPI連携が多い場合はOpenID Connectが適しています。自社の利用環境に応じて選択しましょう。

まとめ|シングルサインオンで認証管理を効率化しよう

シングルサインオン(SSO)は、複数サービスのID・パスワード管理を一元化し、利便性とセキュリティを両立できる現代的な認証基盤です。SAML、OAuth、OpenID Connectといった認証方式を理解し、自社環境に合った形で導入することが重要です。

特にクラウドサービスの利用が進む企業や、リモートワークを推進する組織にとって、SSOは欠かせない仕組みとなりつつあります。多要素認証との併用や運用体制の整備も含め、長期的な視点で導入を検討しましょう。

投稿者プロフィール

スータブル・ソリューションズサービス担当者
スータブル・ソリューションズサービス担当者
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